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Update 02/28
● 指揮法教程
オーケストラを指揮することが、男性の夢・第1位なんだと云うアンケートをかつて耳にしたことがあります。 総理大臣になるとか、大実業家になるとかというのとは少し毛色の違った、F1ドライバー!やヨットで太平洋横断!…系の夢なんでしょうね。
そうそう、信州白馬の国道148号線沿いにある"姫川温泉"のご主人は、男のロマンとしての温泉掘りにとり憑かれて、ついに掘り当てゝしまったそうです。 それで数百円の入湯料なんだから安いよ〜。 あ〜ぁ、いつもながらどんどん話しが逸れて行くぅ!
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きょうはウチの講座の一つにもなっている「指揮法」について、2〜3触れてみようと思います。 何を隠そう(?)この私、その指揮者道を日夜研鑽にはげんでいた時代があるんですねぇ。 いや、もちろん今だって…(笑)。
よく「指揮法」と一口に言ってしまっているけれど、その要素を大きく分けてみると、音感的/楽理的(特に構成とか分析についての)/そして指揮動作の運動的な訓練、の3本柱と云うことになるだろうか。 その他にも自分の意志や考えを正確に、そして感じ良く伝達(この"感じ良く"が若いうちは特に重要…笑)することや、緊張と弛緩/緩急を織り混ぜた練習運びなど、いわゆる音楽以前の部分での能力や訓練が必要とされることも多いです。
ただ、いつぞや掲示板にカキコした「作曲上のジャブとカウンター」の喩えのように、1発のカウンターパワーを持った人(つまりその道の才能だね)は、上で揚げ並べた全ての要素を全く無意味にしてしまって尚、魅力を発揮してみせてくれる時がありますよね。
また話が逸れるのを承知で書いちゃうと、まぁ、とにかくプレイヤー諸氏はみんな意地悪です!?(笑)。 指揮者の非を見つけることがすっごく嬉しいらしいです〜(笑)(笑)。 でもね、リハーサルさえ終わればみんないゝ人に早変わり!(フォロー、フォロー…) 大きな楽器をかゝえて、4次元に入り込むような白い煙に誘われるまゝ暖簾をくぐってしまえば、それはそれはもう、百戦練磨のエピソードに交えて真実の声(?)も聞かせてもらえると云うものです。
「ねぇねぇ、先生! あんたねぇ…!!?」「 …!?」 |
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工房の指揮法講習では初級として、主に上記指揮動作の部分についてのレッスンをします。 斎藤秀雄さんの名著「指揮法教程」をテキストに、まず「叩き」の動作からひたすらみっちりとやって行くんです。 特に自己流で通してきた人は必ずと言っていゝほど、その「叩き」の加速が大幅に足りません。 逆に、あり余る加速の持ち主は減速に恵まれていなくって、めまぐるしい限り…。 いわゆる"フルトメンクラウ(振ると面喰らう)"派ですね(笑)。
幸か不幸かそこに手を染めてしまった人には以後、只ただ打点をはっきりさせるメリハリを生み出すための加速と減速に、全身全霊を傾ける日々が訪れる訳です。 正直言ってつまらないでしょう!きっと、この間は。 その意味が身体で感じられるまで、そしてそれが快感になるまで、かなりの時間を覚悟することが必要です。
ただ「継続は力…」が見事に結果として現れる部類の練習でもあるので、続けて行くうちにだんだんとピアニストがその打点を読んでくれるようになり、そうなってくればこんな単純と思えることにも、けっこう深い部分での喜びが生まれて来たりもするものです。 そして「平均運動」「しゃくい」等々と、斎藤さんによって機能的に分類された項目ながら、短くはない下積み(?)が続いて行きます。
後半の応用練習に入ると様相は一変! 一度は弾いたであろうソナチネ1の小曲を題材に、ピアニストを相手に実際に指揮することになります。 「棒が意のまゝに…」には程遠いとしても、こゝまで来ればそれなりに指揮することの喜びも感じられるようになるというもの。 もう1ヶ所、応用練習の中盤すぎでハイドンの"Adagio"を、先入の分割と云う方法で指揮する課題が出て来ます。 こゝがまた、第二の大きなヤマとなるところのようです。
とは言え、1曲を終える度にどんどん自分の棒が楽になって行くことが実感できるはずですし、最終8曲目の「青きドナウ」の四苦八苦が楽しくなりだした頃には、きっとこのテキストを後ろ髪を引かれる思いで終えることになるんだと思いますよ。
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