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Update 12/20
● 「音楽の素」コンサート
この秋も少なくない音楽教室や音楽鑑賞会にお呼びいただいて走り回りました。 HPがおろそかになったりして顰蹙かいましたよね。 きょうはその出張演奏の話を少し。
前にもどこかのコーナーでチョコっと触れたことがあったような気がしますが、ウチのプログラムで結構人気のあるものゝひとつに「音楽の素」コンサートと云うのがあるんです。
演奏曲としてのプログラムは、お招きくださる主催者のかたの諸状況や、その結果同行するプレイヤーによって臨機応変なんですが、要はクラッシックの名曲のテーマ(主題)やモチーフ(動機)の各作品における意味や役割について、その場で生の演奏を聴きながらごくごく易しく簡単に判ってもらおうと云う「おしゃべりコンサート」です。 |
いただける時間によっても変えて行くプログラムですが、メインは一番わかってもらい易いベートーベンの「運命」(実は中味はとっても本質的な話なんですけど)に置いて、当日のプレイヤー氏の技も生かせる曲目をならべて話を進めて行きます。 こういった音楽教室や鑑賞会形式の時にフルオーケストラでと云うお話はまずないので(もちろん予算的なこともあるわけですし)、演奏もせいぜい5人くらい、少ない時は2人とかでゞも聴いてもらわなくちゃならない! だから2Handen のSymphonien なんかは必需品です。 もちろんピアニストが参加していれば当然、彼/彼女の出番となる訳ですが…。
そうそうまた横道に逸れるかも知れませんが、もう何年か前にこの「運命」の1楽章をピアニストの深山美恵子さんが、ほんと途中で止めてしまうのが惜しいような素晴しい緊張感とシッカリした音で弾いてくれて、その演奏は今でも耳に焼き付いています。
そうだ、その話の中でいつもやるクイズを皆さんにもひとつ!
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右の譜例はご存じ「運命」の冒頭ですが、1楽章にはこのモチーフがもうこぼれ落ちるほどギッシリと詰め込まれていると云うことは、一目瞭然(一聴瞭然かな?)ですよね。
では「2楽章の冒頭から37小節の間に、いったいいくつ聞こえるだろうか?」
むろんコンサートではここで1〜2回演奏されるわけです。 元気な子供たちや音楽大好き大人のみなさんが、「2ツ聞こえた〜!」「いや全部で8箇所あるんじゃないですか」って回答してくれます。
「じゃぁ」と云うことで、それ以降は各プレイヤー氏に該当箇所を強調してもらったり、私がピアニストの演奏に割り込んでその部分だけをさらに重音にしたりで、「こゝにも聞こえないですか…?」「ほら、こゝにも!」「ハイ、こゝは?」・・・ |
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だんだんみんなの目が丸くなって行くのが判る瞬間です。 もちろんモチーフの拡大/縮小、そしてそれと聞き取れる範囲での変形の話にも触れてのことなんですが、まず3小節目に既に聞こえることにビックリしてくれて以後、今度はその数の多さにまたまたビックリを繰り返してくれます。
もう少し上の世代が対象の時には第九の「素」も話の材料に加えるんですが、1・2・終楽章には見つけ易い "d - a" の下行モチーフを3楽章に探そうとする時が圧巻(?)で、時には同行のプレイヤー氏がモロ頷きながら感心してたりしてゝ「おいおい!」。
CDやTAPE、またはスコアなどを持っていらっしゃる方は、一度再確認なさってみたら面白いかも知れませんよ。 クラシカルな作品やその制作にはもちろんだけれど、良く出来た映画音楽やミュージカル/ポピュラーソングを題材にしてみても見つけることができる、大切な「音楽の素」の話です。 そう言えば「音楽の友」と云う雑誌もあったっけね …!?
師走だし、きょうはこゝで止めておこうかな。
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