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「音楽の素」コンサート Update 12/20
MIDIシーケンスソフト
  "Score Grapher Pro" について
Update 11/22
   
   
 Update 12/20
 ● 「音楽の素」コンサート


 この秋も少なくない音楽教室や音楽鑑賞会にお呼びいただいて走り回りました。 HPがおろそかになったりして顰蹙かいましたよね。 きょうはその出張演奏の話を少し。

 前にもどこかのコーナーでチョコっと触れたことがあったような気がしますが、ウチのプログラムで結構人気のあるものゝひとつに「音楽の素」コンサートと云うのがあるんです。
 演奏曲としてのプログラムは、お招きくださる主催者のかたの諸状況や、その結果同行するプレイヤーによって臨機応変なんですが、要はクラッシックの名曲のテーマ(主題)やモチーフ(動機)の各作品における意味や役割について、その場で生の演奏を聴きながらごくごく易しく簡単に判ってもらおうと云う「おしゃべりコンサート」です。
   
 いただける時間によっても変えて行くプログラムですが、メインは一番わかってもらい易いベートーベンの「運命」(実は中味はとっても本質的な話なんですけど)に置いて、当日のプレイヤー氏の技も生かせる曲目をならべて話を進めて行きます。 こういった音楽教室や鑑賞会形式の時にフルオーケストラでと云うお話はまずないので(もちろん予算的なこともあるわけですし)、演奏もせいぜい5人くらい、少ない時は2人とかでゞも聴いてもらわなくちゃならない! だから2Handen のSymphonien なんかは必需品です。 もちろんピアニストが参加していれば当然、彼/彼女の出番となる訳ですが…。

 そうそうまた横道に逸れるかも知れませんが、もう何年か前にこの「運命」の1楽章をピアニストの深山美恵子さんが、ほんと途中で止めてしまうのが惜しいような素晴しい緊張感とシッカリした音で弾いてくれて、その演奏は今でも耳に焼き付いています。
 そうだ、その話の中でいつもやるクイズを皆さんにもひとつ!
   
 右の譜例はご存じ「運命」の冒頭ですが、1楽章にはこのモチーフがもうこぼれ落ちるほどギッシリと詰め込まれていると云うことは、一目瞭然(一聴瞭然かな?)ですよね。 

 では「2楽章の冒頭から37小節の間に、いったいいくつ聞こえるだろうか?」
 むろんコンサートではここで1〜2回演奏されるわけです。 元気な子供たちや音楽大好き大人のみなさんが、「2ツ聞こえた〜!」「いや全部で8箇所あるんじゃないですか」って回答してくれます。

 「じゃぁ」と云うことで、それ以降は各プレイヤー氏に該当箇所を強調してもらったり、私がピアニストの演奏に割り込んでその部分だけをさらに重音にしたりで、「こゝにも聞こえないですか…?」「ほら、こゝにも!」「ハイ、こゝは?」・・・
   
 だんだんみんなの目が丸くなって行くのが判る瞬間です。 もちろんモチーフの拡大/縮小、そしてそれと聞き取れる範囲での変形の話にも触れてのことなんですが、まず3小節目に既に聞こえることにビックリしてくれて以後、今度はその数の多さにまたまたビックリを繰り返してくれます。 
 もう少し上の世代が対象の時には第九の「素」も話の材料に加えるんですが、1・2・終楽章には見つけ易い "d - a" の下行モチーフを3楽章に探そうとする時が圧巻(?)で、時には同行のプレイヤー氏がモロ頷きながら感心してたりしてゝ「おいおい!」。

 CDやTAPE、またはスコアなどを持っていらっしゃる方は、一度再確認なさってみたら面白いかも知れませんよ。 クラシカルな作品やその制作にはもちろんだけれど、良く出来た映画音楽やミュージカル/ポピュラーソングを題材にしてみても見つけることができる、大切な「音楽の素」の話です。 そう言えば「音楽の友」と云う雑誌もあったっけね …!?
 師走だし、きょうはこゝで止めておこうかな。
   
b y とし
   
   
このページのクイズについて「答え教えて〜」メールを少なくない通数いただきました。 ごめんなさい。 一時期「なんでも掲示板」にカキコしてあった内容を転載しておきます。
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 あのように音楽を分析して行くことをアナリーゼと言うんですが、どう考えて行くかでその取り方/聴こえ方も異なって来るものなんです。 そこで段階的に…。
1. 素直に聴いていると、15小節のアウフタクトから始まって、はっきり4ツ聞こえますね。
2. 次に23小節からをちょっと注意して聴いてみたら…?さらに4ツしっかりと、特に後ろの2ツは堂々としてるでしょ。
3. そうやって色々な「ジャジャジャ、ジャ〜ン」を聴いて行って、もし14箇所以上聴こえたあなたは、きっとなかなかの感性と解析力の持ち主ですよ!
(23小節目以降に現われるアルペジオ風の連続した3連符は数えないことにしました)
 さて、じゃァまたトライしてみてくださいね。
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やはりこのトピックで触れたベートベン第九の3楽章について、「答を教えて」メールをいただきました。 掲示板に追加カキコしたものを転載します。
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 ポケットスコアがある方は3小節目1st Vl. の2つの2分音符を見てください。 スコアのない人は、ピアノや楽器がオーディオのそばにあったら、その部分で聞こえる Vl. の音をさぐり弾きしてみて欲しいんです。 ね、d ─ a でしょ?
 この楽章の調が B-dur (B♭) なので、移動ド読みの人にはほんとショッキングな事実なんですが、曲作りがいかに感覚頼りではないかの好例として、うちの「音楽の素コンサート」で取り上げています。
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  Update 11/22
 ● MIDIシーケンスソフト
"Score Grapher Pro" について

 きょうは、当工房リンクページにもあるRIMSHOTと云うソフトハウスから出ているシーケンスソフト、"Score Grapher Pro" を動かしてみたので触れてみます。
 私がコンピュータに関わり始めた当時(確か91年)は、まだ MS-DOSのVer.3.3Cかなんかが最新のOSで、RCM-PC98(レコンポーザの方が通りがいゝんだろうか?)とNatyaと云うソフトとを動かしてました。 RCX-PC98なんて云うのもあったナ。 メモリだって640K が最新鋭機種だったんだから、今では考えられないでしょう?

 それまでのレコーディングと云えば、作曲/アレンジから始まって、作譜(パート譜は生徒にアルバイトしてもらったり)にスタジオやプレイヤーの確保、そしてリハに音録りと何から何まで、そして年がら年中苦労してた記憶ばっかり。 ある時はスコアを書く時間が取れなくて、頭の中のスコアからパート譜を先に書き始めてた(だからアルバイトも頼めない)時も…。 その音録り現場では、プレイヤーの人たちに不安がられない(?)ように、白紙のスコアを前に置いて指揮をしてたこともありました。

 そんな環境の時に、コンピュータとMIDI機器の作り出すレコーディングクオリティには、ほんとに舌を巻いた訳です。 まず作曲/アレンジ= 譜面と云うプロセスの短縮、そして自分の家の6帖間で作り出せてしまうこのスーパークオリティに、どれだけ感謝したことか。
 また脱線するけれど、家庭用FAXが出始めの頃(コンピュータに関わるより前の話です)に何を置いても手に入れたのは、書き上げた譜面を締切日の朝に送信出来ると云う、これも時間的メリットの故です。 それまでは遅くとも前日の午後に速達で送るか、当日自分で持って行くかだった(ピックアップしてもらえる身分でもなかったし)のが、送信ぎりぎりまで書いていられると云うことに、死ぬほどの大メリットを感じてました。

 さて、そうそのNatyaというソフトですが、 cresc. dim. accel. rit.を除いて、譜面に書き込む殆どの記号に演奏が対応していたと云うことで、私のような音楽畑の人間がコンピュータに入って行くには格好のソフトだったかと思います。 ところが、このNatya にはスタンダードファイルへの変換ができない、エクスクルーシブメッセージに対応していないと云う2大欠陥がありました。 ただ、当時の殆どのソフトがそうだったように、システム自体がフロッピー1枚に納まってしまうため、家での完パケファイルと一緒に、いつもフロッピーで持ち歩いてた記憶があります。 後者の問題の方は、音録り現場のトーンジェネレーター本体で調整してたんだろうと思います。
 そうそう、あと当時からこのソフトは50ものトラックを持っていて、今ではレイヤーとして一般化してる概念を、無理やりにそのトラック数でまかなっていた記憶もあります。 なんとウチでは今でも、もうそれ専用機となってしまっている当時の 98 と共に現役で動いてますよ。 そしてそのバージョンアップ代わりにと送られて来たのが、件の "Score Grapher Pro"でした。
   
 さてその新ソフトですが、当時の問題点を完全にクリアしているのはもちろん、その他の改良/追加にもずいぶんと細かな神経が行き届いているようです。
 当時からの譜面のきれいさはそのまゝ受け継がれていて(右図)、その編集能力と共に楽譜ワープロとしてのポジションを確立した感が…。

 歌詞入力も日本語/アルファベット共に対応していますし、もちろんシーケンサーとしての機能も、通常求められるものはまず全て備わっています。
 中でもトラックボタンと呼ばれるボールをドラッグしての、スラーやタイの位置/長さの調整は紙一重(?)の便利さだし、唯一トレモロが見た目にも理論的にもちょっと感覚とはずれるものゝ、アルペジオに始まってモルデントやターン他の装飾音にまで演奏が対応しているのは、お見事と言うほかないです。
 まぁ細かな指示ができる分、ウインドウパレットが少々複雑になるのは仕方のないことか。 ひとつ問題を上げるとすれば入力方法で、ファイル変換等で外から取り入れる場合ではなくてこのソフト単独での入力の場合、リアルタイムに対応していないのがちょっと苦しい…。 画面上の鍵盤をマウスでクリックして行く方法なので、感覚的に作業できることはできるのだけれど、入力スピードを要求される現場や作業にはきっとネックになる問題と思います。
 どちらかと云うと、割に譜面からの把握ができるタイプの人向きの、簡単入力ソフトと云ったところだろうか。 VSC-88の音源と、音友の定番書「楽典(理論と実習)」が添付されているところからも、そう云ったターゲットに向けての商品なのでしょう。「楽典」もオンラインヘルプみたいになってればいゝのに〜!って感じるのは私だけでしょうか。
 SMFなどのデータを読み込んで、楽譜ワープロとして使う人にはピカイチソフトかも。動作環境等は、RIMSHOTのHP(http://www.rimshot.co.jp/)で確認してもらったほうが確実でしょう。 Win.95/98ソフトです。

 それと詳しくはまたの機会にしますが、11/06 UPのこの欄でちょっと触れたコンピュータによる「無神経な音」云々(特にMIDIに関して)の原因の8割がたは、ディナミーク(強弱)とフレージングの未入力が原因です。 データを送ってくださったりHPで聞くものゝ6〜7割が打ち込みっ放し状態か、フェーダーやストリップチャートでの処理止まりのよう。 せっかくいゝ曲やユニークサウンドもあるのに…。

 またとくにクラシック系の演奏で技を積んで来た人に、機械での音楽制作を感覚的に毛嫌いする人もいますが、冷静に音楽の要素を分析して行けば、私たちのコンピュータは音楽する道具(つまり楽器)としての能力を完璧に備えています。 ピアノだって工業製品なのだし、要は演奏のしかた、演奏者(私たち)の技と音楽性なんですよ。
 個々の返信メール等ではできる限り詳しく触れているつもりなんですが、音源から出るだけの音や同じレベルの音の羅列ではなくって、是非とも「よりきれいな音創り」や「音楽してる音楽創り」をして行ってほしいです。 SMFであっても、可能なことはたくさんあるので…。
   
b y とし
   
 
 

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